英ポンド/円相場は、10月25日の129.65円をピークに、足元では128円台中盤での取引になっている。ユーロに対する買い戻し圧力や日銀の追加緩和政策に対する期待感からポンド買い・円売りが先行する展開が続いてきたが、ここにきて円安圧力が一服したこともあり、ポンドは上げ一服となっている。ただ、11月の英追加金融緩和観測が交代する中、ポンドの下振れリスクは限定されており、押し目買いが下値を支える展開が続くことになるだろう。
7~9月期の英国内総生産(GDP)は前期比+1.0%となり、4~6月期の-0.4%から大幅な改善になった。ロンドンオリンピックによる一時的な要因の影響が大きいと見られ、これで英経済が本格的な景気か回復トレンドに入ったとは評価できない。今後はオリンピック効果の剥落によって、英経済は再び減速する可能性の方が高い。ただ、これによって英金融当局が追加金融緩和の展開を急ぐ必要性が後退していることも事実であり、短期的にはポンドの下値がサポートされやすくなっている。10月の消費者信頼感指数が、前月の-28から-30まで下振れするなど、英経済の先行き不透明感の強さは否めないが、11月7~8月の金融政策委員会(MPC)に向けて、追加緩和リスクに備えてポンドを売り込む必要性は見出せない。
ユーロに関しては、重債務国の国債利回り低下傾向が続いていることが警戒される。欧州株が比較的安定した値動きになる中、直ちにユーロが急落するとは考えていないが、戻り余地は限定されよう。これは当然にポンドに対してもネガティブになる。ただ、欧州債務不安を本格的に蒸し返す動きが見られなければ、ポンドの押し目買い基調は維持され易い状態にあり、ポンドの下落余地は限定されよう。
今後1週間の予想レンジは、127.00~130.00円。